同級生

 

ボクは

 

ごくたまにだけど

 

同和問題について

 

口にすることがある

 

おもしろ半分に話してる

 

そう聞こえるみたいで

 

それを聞いた人の中には

 

そんなことを言う人がいるから

 

いつまでも問題がなくならないんだ

 

そう思いながら

 

黙って聞いている人もいるかもしれない

 

でも

 

ボクがそんなこと話すのは

 

ひとりの同級生のことが

 

いまでも心に残っているから

 

その同級生は

 

小学校から中学校までずっと一緒で

 

仲のいい友達として

 

よく遊んでいた

 

ボクは友達のつもりだった

 

でも

 

中学のいつのころからか

 

その同級生は

 

少しずつ変わっていって

 

卒業するころには

 

気やすく近寄れない

 

そんな雰囲気を漂わせていた

 

なんでそんなふうに振る舞うのか

 

まったくわからず

 

だんだん離れていって

 

いつの間にか話すこともなくなった

 

だいぶ後になって

 

竹田の子守唄や五木の子守唄が

 

被差別部落の伝承歌で

 

放送禁止曲になっていた時期がある

 

と知ったとき

 

あれは同和問題のせいだと気がついた

 

そうすると

 

子供のころ

 

その同級生に

 

遠くから石を投げられたことを

 

思い出して

 

あれは悪ふざけなんかじゃなかったんだ

 

とわかってきた

 

被差別の苦しさは

 

たぶん

 

持っていく場所のない苦しさで

 

当の本人にしかわからなくて

 

誰にも言えなくて

 

自分と同じ境遇の人たちとだけしか

 

話せない

 

いや

 

話すこともないのかもしれない

 

仕方ないこととして

 

怒りとともに受け入れているんだろうと思う

 

ボクはたぶん

 

なにも気がつかないうちに

 

その同級生の心に

 

ちょっとしたキズをつけていたのかもしれない

 

子供だったから

 

仕方のないことだけど

 

自分の無知を恥じた

 

そんな後悔から

 

話さないではいられない

 

今度はボクが

 

差別を受ける番だ

 

被差別に

 

無神経な人間だと

 

笑われる側にまわるよ